ダイヤモンドリリィ

行かないでよ、って小さくこぼした
自分にだって、聞こえるかどうか
わずかな冬の予感のような、
そんなかすかな、かすれた声で

本当はただ
きみがそばで笑ってくれれば
僕はそれだけで
生きていけるような気がしたんだ

気休めだったとしても

行かないでよ、を噛み殺した
きみの夢を邪魔する権利なんて
たとえ僕が遠い日のきみを癒していたとしても
すこしだって、あるはずないから

本当はただ
なにもできないこの僕にきみが
"また逢える日を楽しみに"って
言ってくれているような気がしたんだ

気休めだったとしても

華やかに咲いた笑顔のきみに
薄紅色のダイヤモンド・リリィを贈る


2005年11月8日