ビルのまんなかに
引っ張られてゆく太陽を
薄汚れたガラスを介して
遠巻きに眺めてた

"しあわせになりたかっただけだったのに"
って泣いた僕の声は
途方もなく身勝手で

太陽が引っ張られてるんじゃなくて
地球がまわっているだけなんだって
ただしんじられないだけだったんだ

川の水面から
押し出されてゆく太陽を
耳を凍らせる空気の中で
遠巻きに眺めてた

"となりにいてほしかっただけだったんだ"
って笑った君の声は
途方もなく愛しくて

太陽を押し出すくらいの力なんて
この世の中にないんだってことを
ただしんじたくないだけだったんだ


「太陽の引力」070115