哀しみの空が
酸性の泪で泣く
半透明の傘から
滴る雫は透明

スカートの裾が濡れた
奪われてゆく脚の熱に
冷めてゆく彼の感情を想った

偽りの雨が
偽善の養分で育む
青々と伸びる葉から
落ちる雫は透明

カーディガンの袖が濡れた
錆びてゆく誓いの輪に
衰えてゆく春の約束を想った

びしょ濡れのわたしに
残るプライドがあるとすれば
こんな醜い現状であっても
彼をあいしているという事


「透明の誇り」070717