彼は怒っていた
わたしはそれに気付いていた
だけど気付かない振りをして
ほかのひとと笑い合っていた

彼は怒っていた
そしてわたしを見ていた
だけど向き合うのが怖くて
わざと目を逸らしていた

彼は怒っていた
知らない振りはもう無理だった
わたしは向き合おうと決めた
彼のもとへ走り出した

その瞬間に目が覚めた
そんな夢を見た


きっと概要はノンフィクション
目が覚めたこの場所に
彼は居ない

彼は怒っていた
そして同時に泣いていた
わたしには理解できない葛藤で
距離を置いてくるしんでいた

わたしは笑っていた
そして同時に泣いていた
名前のない感情を壊したくて
必死に取り繕って笑っていた

雨が降り始める

彼は居ない
彼は居ない
彼は居ない


「声のない叫び」071107