変色する事を
躊躇っていた銀杏はもう堕ちて
移動する事を
憚っていたあのこも去ってゆく

あたしだけはこの場所で
巡り巡る日常に動揺して
泣けないでいる事に泣きそうになる

止まれないのに変われなくて
無意味な想像と鮮明な映像が
またあたしを弱くする

変わらない愛想笑いで
変われないあたしだけ
変わらずに弱いまま

近いうちに裏切りの銀杏も
新しい芽を生み出すでしょう


「呪縛」080116