僕は何も違わない。


The Autumn Song


「なんか、元気ない?」
「そう見える?」
「見えるよ。なんか、らしくない」
「気のせいだよ。それよかコーヒーとってくれないか」
「はい、どうぞ」

彼女は友達が紹介してくれた女子大生。
顔はかわいいしスタイルも良い。
おまけに気が利くときた。

今年の夏は彼女も交えて何人かでサーフィンに行った。
元々僕はサーフィンが趣味だけど、
いつも1人で行っていたからなんとなく新鮮だった。

サーフィンの季節も終わり、街は秋色に染まろうとしていた。

今日はサーフィンのメンバーでパーティーだ。
友達は結構いい女を連れてくる。しかも料理上手をだ。
自分も満足気にいやらしく笑いながら、僕に酒を勧める。
コーヒーがあるから、と断って、タバコに火を点けた。
これ以上ないほど幸せだ。
きっと誰かが僕を見たらそう言うだろう。
実際に僕もそう思う。
だけど何かが足りない。どういう事だ。

"もう昨日までとは違うのよ"

あの日君が言い放った言葉の意味はまだわからない。
僕は何も違わない。
サーフィンの事とスノーボードの事、それから君の事しか頭にない。
もちろんいい女やタバコもすきだけど、本当に必要なのはそれだけだ。

手紙を…君がくれた手紙をどこに置いたっけ。

突然思い出した質疑への応答は返ってこない。
君の存在が僕を満たしていた事に今更気付いた。
こんな完成された料理より、君の下手くそな料理がすきだった。

秋が心の真ん中の大切なものを、1つさらっていった。





2005/07/04

The Autumn Song(シングル"Missing"収録)
ELLEGARDEN
"One thing I miss at the center of my heart"