あの日も確か、こんなキレイな秋晴れの…


cosmos


あの日も僕は君とバスに乗って、
いつも通りの1日を過ごしていたはずだったね。
流れる景色は変わるけど、君と僕は変わらないと思っていた。

「次、7分か…本当バス少ないな。」

小さな町のバスは間隔があいている。
10分もこの場所で待っていたら、
また君の事を思い出してしまいそうだ。

季節は秋で、確か朝のテレビで
「今宵は十五夜」なんて言っていたな。
バス停の横の小さな花壇には、コスモスが行儀よく並んでいる。

かわいい花…確か君がすきな花だ。

バスが来た。日が短くなってきたからか、いつもよりライトが眩しい。
いつもより早い時間のはずなのにな…
バスが来なかったのもそのせいか。
乗り込んだバスの1番後ろの席に座る。
ふと、自分がさっきまでいた方を見る。
コスモスが風に踊る。

ためいきをひとつ、つく。
バスが耳障りな音を立てて発車する。
重い頭を窓にもたれ、目を閉じる。

隣に君はいない。

バスを降りると十五夜の月が僕を迎えてくれた。
静かな夜と揺れるコスモス、そして満月。

あぁ…素晴らしいのにな。
静寂すら芸術なのに、僕の心が孤独なせいで、涙が出そうだった。





2005/07/04

コスモス(アルバム"ether[エーテル]"収録)
レミオロメン
"ガラスに額 擦って 泣きっ面と目が合った"